ＥＸＣＡＳ

　中身は珈琲、淹れたてで湯気が出ている。
　静かに飲むと、心底疲れた溜息を吐き出す。

　何を怒っている。ここに来た次点で、汝はすべてを棄てるべきだ。
　なのに、まだそんな状態でいる。吾の方こそ問い返す。

　お前が介入しいた事は知っている。何故だ。
　そんな事をして、ここに呼びたかったのか。

　ここに来たのは汝の勝手。あの時、汝は独りだった。ここへ来たのは、ミスを犯したせいだろう。
　一々、自分の事を吾に押し付けるな。

　よく言う。なら、あれは何だ。向こうの世界を映し出し、俺の意思を束縛して。強制だ。その時、確かに、お前の存在を感じ取った。

　異な事を。そのような不確かで吾を疑うと。
　無様な物言い、見ていた限りでは、もう少し知的な奴だと思ったが。

　再び液体を含み、今度は味わうように嚥下する。やはり興味がない瞳で本の世界を見下す。
　そうして、目の前の者から遠ざかった。
　接点を持たない限り孤独になる世界で、男は間違いなく離れたかった。