EXCAS

 息を切らせながら、限りなく地面に平行で飛んでいる。
 翼は疲れ果て、いつ落下してもおかしくないほど軋んでいた。

「最悪」

 毒づくが第三者から見れば、何という戦果だろう。

 敵の半数以上を撃墜し、まともに戦える機体は全体の二割程度しかいないというのに。
 それでも、彼は自らを情けない者だと罵った。
 満足に時間稼ぎさえ出来ない、口だけの弱者めと。
 目的を達成できなかったからの罵倒だ。
 あの、悪魔を視認し倒せなかったから。



「……!?!?」



 こうして、容赦なく捕まるのだ。



 見えない何かに締め付けられ、罅割れ軋む骨の音を聴き吐血する。
 苦悶は声にならず、血に塗れた嘔吐物が地面を汚す。

「がっ、ぁ」

 苦しい、
 苦しい、
 苦しい、
 苦しい、
 痛い。
 子供じみた情けない言動が、廻り廻って混乱を起こす。
 戦場を荒らし幾多の敵を葬り去った戦士は、しかし今までにない痛みの前に年相応以下まで退行してしまった。