EXCAS

 獣のように喘ぎ、だらしなく舌を出し、見るからに無様と嘲られる姿勢をしていた。
 悪鬼の如く眼力を光らせ、縄張りを荒らされた猫みたいな威嚇。足場がある振舞いで、伏せた犬並みに低く構える様は、蜘蛛にも見える。
 途端に掻き消え、爆発的な風と魔力を孕み敵の波を掻き回す。
 叫び、猛り、睨む。
 叩いて
 飛ばして
 薙いで
 斬る。
 羅刹を思わせる所業は、子供の癇癪にしか見えない。
 いつまで続くのかと、不安と恐怖に震える、強大な抵抗。それは。
 自覚している。魔力が尽き始めていると。
 この調子で戦っていれば、十分と持たずに地上へ落ちる。
 死ならばまだ良しとする。捕らえらる事の方がショウは恐ろしい。
 嘆きたくなる心を抑え、無力感に打たれる思いを堪え、残った全力に等しい斬撃破を打ち出した。津波ほど大きいそれは、しかし何の脅威ですらなかった。
 その速度に操作を忘れ、現れた結果に拍子抜けする人間。
 その速度に調査を忘れ、現れた結果に出遅れるEXCAS。
 彼らの視界の先に、敵対していた影は消え失せていた。

 逃げられた、誰もが舌打った。