EXCAS

 蒼い機体の相方は、それを冷ややかに見下ろしていた。
 手出しは無用と命を下され、自らの将がこの場にいない。逐一状況を記憶しろという主の命に従い傍観に徹す。
 人工知能でありながら、その戦場には気分を害される。
 何という無様さ、何という愚かしさ。
 そして何という、生への執着心。
 味方のいない空で、足掻き苦しみながら戦う姿は無謀としか喩えられない。
 理解できなかったと言わせない、知らなかったと言わせない。すべてを承知の上で来たのだろう。
 なんと愚かな。
 だが覚悟した在り様は、未だに生きる事を忘れず、生きる責務を放棄しない。
 理解に苦しむ在り方に、否応でも気分は悪くなる一方。
 そんなに生きていたいなら、この場に来なければよいのだ。時間稼ぎが目的ならば、せめて一人ではなく複数で来いという。
 いつまでそこにいる、いつまで抗い続ける。
 生きたいのならば疾く去れ。
 侮蔑だった心情はいつしか少年の味方をしていた。自分ならばそうするという考えを押し付けながら苛立った。
 立場は敵、心の内は味方だった。
 いずれ決着をつける事があるだろう。
 その時は、躊躇いなく引鉄を引ける。
 それが人工知能であり、それがACSだ。
 心が味方であっても、命じられれば削除する。
 故に思いはこの瞬間のみ、傍観者と徹しているこの時だけは、害される気分を堪え眺めよう。