EXCAS

 それは悪夢か、誰もが疑わずにはいられない。
 レーダーにもセンサーにも反応がない、謎の攻撃。罠にしては不自然すぎ、人の仕業にしては不可解すぎる。
 ステルス機能は、ここまで発達していないというのに。
 魔術兵装にはステルスがある。
 搭載機は、ただし自らが戦闘体制に移ると同時に解除される。どう調整しようが、それだけは未だに変えられない。だからこれは悪夢なのだ。
 先頭から後方から、順々に艦隊が落ちていく。徐々に追い詰められていく様は、恐怖以外の感情を許さない。それも一瞬、次には痛いと思う間もなく恐怖から解放される。
 だから、恐怖を延々と感じるのは中央に位置する最高指揮官だった。
 他の者は皆一撃で沈められ、宇宙に咲く花と散っていった。この男だけ、それを恐怖として未だに認識している。

 ――ふと、視界(モニター)の端で何かが動いた。

 黒い、
  触手を持った、
   悪魔。

 それが大艦隊を引き連れた男の、最後の思考だった。