EXCAS

一秒、気づかない敵を遠距離狙撃。
 コクピットを穿つ精密射撃ではなく、戦闘不能に陥らせる物。

三秒、僅かに反応した敵機に無数の魔術弾。
 火を吹いて落下するが、生死の確認はしない。

五秒、射線軸に乗った敵に魔弾を撃ち込む。
 狙いを定めない乱射はレーダーから敵を消した。

八秒、最後の一機にチャージした一撃を放つ。
 直撃、爆炎を視認する。これで障害はない。

十秒、予測した時間到達。
 地獄犬の頭部をロックオンしているはずだった。

 何事にも予想外の障害はある。
 算出された結果はイレギュラーに覆された。
 それは三日前に見た少年の面影があった。
 だが分析して出た結果に■■という感情を与えられた。
『あんた、どこかで見た事あるな』
「……それはこちらの台詞。まさか、あの状況で生きていようとは」
 思い出すだけでも、人間ならば夢に見る。至上の悪夢、生き延びた敵対者。
 それはもう敵対者だった。捕獲対象と手を組み、戦闘力を手にし、牙を剥いた。こうして刃を抜き、銃を向けているずっと前に。
 互いに無自覚でありながらこれは必然。