入学式から数日経ち、部活に興味を示した私と梨華は、放課後に校内の散策を始めた。

中学の時は2人してバレーボール部に入部していたが、選手に選ばれるわけでもなく、そんな思い入れもなかった為、正直高校生活までスポーツで青春をする事は考えてなく、もっと気楽で自由なものを望んでいた。

「ちょっと、実莉‼
あそこ見て‼」

爽やかな風が吹く運動場の端を歩いていた時、急に梨華の右手が私の左肩を二度叩いてから、あそこの場所を指さした。

綺麗なフォーム、行き先を睨むような強い視線、前髪を邪魔だと言わんばかりにピンであげ、先生の掛け声と同時に走り出したその人の姿は誰から見ても輝いていて、つい追ってしまう。

「…かっこいい…ってか早い。
爽やかー。」

今にも溶けそうな梨華の顔に私も納得した。

「…うん、かっこいい。」

「2人め発見だねー。」

のほほんとした2人の笑顔が重なった。


この学校で騒がれている4人の王子様グループがあると言う噂を聞いたのは、それから数日後の事だった。