ーピンポーン

「おばさん、おはようございます。」

「あら梨華ちゃん、おはよう。
梨華ちゃん大人っぽいから制服似合うわねー。」

「へへへー、本当ですか?
ありがとうございます。」

玄関から母親と梨華の明るい声が聞こえてきて、私は鏡を覗き込み前髪を整え、急いで階段を降りた。

「梨華ー、おはよう。」

「実莉、早く行こう!」

新しい制服を着た笑顔でいっぱいの梨華を見て、私は下を向き自分の姿を確認した。

「実莉?」

不思議そうな梨華の声にはっとする。

「…あっ、うん。
お母さん、いってきます!」

「はいはい、いってらっしゃい。
2人とも気をつけて行くのよ。」

「はーい。」

元気な私と梨華の声が笑顔で手をふる母親に向けられた。

「実莉…それ本気?」

「えっ……?」

梨華の瞳が私の制服姿を下から追う。

「……。」

「スカート長いし!
もう少し着崩そうよ‼」

梨華を見た瞬間に不思議に思ったのは、制服の着方が少しだけ背伸びしたはずの私の姿と違い過ぎたから。

「スカートもう1回巻いて!
ブラウスのボタンもきっちり上まで閉めてるの実莉くらいしかいないからー。」

梨華はそう言うと、私のブラウスのボタンを2つ外し、満足そうに笑った。