「今日は、聞きたいことがある」
スーツの内側に手を入れ、何かを探すユズルさんを、好奇心一杯に眺めていた。
だって、ユズルさんが改めて私に聞きたいことなんて、どんなことだろう――?
いつもは、私が質問ばっかり。
私が10質問したら、やっと1つ質問してくれる程度。聞き上手と言われれば、それまでかもしれないけれど…。
少し険し気に目を細めるユズルさん。
めずらしい表情…
「どうして、今日はスーツなの?」
“スーツ姿は初めて見た”と言えば、ユズルさんは切れ長の双眼をハッとさせ、怪訝に眉を寄せた。まるで、変なものを見据えるような視線に、居た堪れなくなった。
そして、気づく。
もしかして、私は以前にユズルさんのスーツ姿を目にしたことがあった――?


