「額が、腫れてる」
無表情を、顰め面に変えたユズルさん。
前髪で隠したたんこぶに気づくなんて、ユズルさんはやはり侮れない。
反省した。
彼はわざわざ自分のハンカチを水に浸し、私の額を冷やす。
とても親切な行為だけど、
どうせなら、しっかりと絞ってからにしてほしかったなユズルさん。
ハンカチからは未だに、たらたらと水滴が落ちてくる。
ユズルさんは、いつまでたっても、そのまま動かない。
水滴が頬を滑るたびに、手で拭うのが大変だ。
私はハンカチを自分で押さえ、「もう大丈夫」の意味を込めて、少し身を引いた。その行動の意味を酌んでくれたらしいユズルさんは、真正面のソファーに戻った。
座る頃には、最初の無表情に戻っていて、でもいつもと変わらず、私の少しの変化も見逃さない観察力に、今日のユズルさんはそんな気分なんだと、楽観的な考えをしている自分がいた。


