ユズルさんの豹変ぶりに、訳が分からず、また目が乾燥し始めた。このままだと、目が砂漠になってしまうと危惧した私は、身体ごと右を向いた。
窓から、降り注ぐ光は、優しい温かさ。
それはユズルさんそのものなのに。ユズルさんの表情のない顔なんて、みたことない。
いまのユズルさんは、深く暗い樹海のよう。
そんなことを考えていたからか、
不意に光から影に包まれ、風が吹いたわけでもないのに肌寒さを感じた。
なんだろうか―――
光を妨げた元凶は、なんとユズルさんで、私を見下すように窓辺に立っている。
全く足音がしないところは、変わらなくて安心した。
「――!」
冷たいなにかが、前髪を掬い、さらにヒンヤリしたモノが額に押しつけられた。
眉間やこめかみをつたって、鼻や頬に滴る感触。
吃驚して、その感覚を不快なものと思うまえに、徐に顔を手で拭えば、透明な雫だった。


