___??side
「んんーっ…はーっ」
AM8:00
いつもどおりの朝。
大きく背伸びをして起き上がり、
ふと、枕元のカレンダーに目をやる。
「あっ、そっか、今日…」
親戚の霧雨さんの家のお母さんが
海外出張で当分居なくなるから
娘さん預かるんだっけ。
(いけないいけない、忘れるとこだった。)
少し早足で木造の階段を下り、
キッチンへ向かう。
赤いチェックの、可愛らしいエプロンを
身に付ける。
「今日はスクランブルエッグでいっか」
手際良く朝食を作っていく。
ここ何年かの一人暮らしの成果である。
(それにしても…)
「楽しみだなぁ♪
どんな子なのかなぁ♪」
つい、鼻歌交じりになってしまう。
『ピーンポーン』
ふいに、チャイムが鳴った。
(あ、来たかな?)
急いで手を拭き、パタパタと
玄関へ向かう。
「はいはーいっ」
自慢の明るめ女声で返事をし、
扉をゆっくりと開けた。
(……!?)
肩に付かない程度のストンとした
水色の髪。
綺麗な紫色の目の奥には
小さな光が灯っていて。
僅かに首を傾げている
少し俺より背の低い少女が立っていた。
この子が……霧雨ちゃん?
「………………可愛い」