***
片倉課長の知り合いのイタリアンのお店で晩ご飯を食べた。
料理すべてが美味しくて、お腹いっぱいだったのにデザートのブルーベリーヨーグルトのジェラートまでペロリと食べてしまった。
同期会では毎回割り勘だし、そのくせで自分が食べた分は支払おうとした。
だけど、片倉課長は「俺が誘ったんだから」と受け取ってもらえなかった。
店を出る前に時間を確認したら二十一時を回ったところ。
帰るにはまだ早い時間だ。
もう少し課長と一緒にいたいけど、そんなワガママは言えない。
片倉課長を見上げると、私の視線に気づき困った表情になった。
「そんな顔されると離したくなくなるんだが」
苦笑いしながら言われ、首を傾げる。
「そんな顔って……?」
「まだ帰りたくないって顔」
言われた瞬間、顔が真っ赤に染まり慌てて頬を両手で隠した。
香苗から私の顔は分かりやすいと言われたことを思い出す。
「じっくりと進めるつもりだったけど、今日はもう帰せそうにない」
そう言って私の両手に片倉課長の手が重なり、熱を帯びた瞳で見つめられた。
その言葉の意味が分からない年齢じゃない。
多少の恥じらいはあるけど、今は自分の気持ちに素直になる時だ。
「私も帰りたくない、です」
片倉課長は驚きの表情を見せたあと「可愛すぎる」と呟き、私の唇にとびきり甘いキスをした。
end.



