その言葉に顔をあげると片倉課長の顔が目の前にあり、唇が重なっていた。
不意打ちの優しく触れるキスに目を閉じることも出来なかった。
好きだと言われたこともキスされたことも信じられない。
すべて都合のいい夢でも見ているんじゃないかと思うぐらいだ。
まだ片倉課長の柔らかい感触の残る唇を指で撫でる。
「ホント、蓮見は可愛くて困る」
唖然としている私を見て口角をあげて楽しそうに笑う姿に、もしかしてからかわれたんじゃないかという思いに駆られた。
「からかうのはやめてください。どうしてキスなんか……」
もう泣きそうだ。
片倉課長が私を好きになってくれることはあり得ない。
危うく信じるところだった。
私は本気で好きだったのに……。
「からかってない。キスは、ごめん。蓮見が俺のことを好きだと言ってくれた顔が可愛いから我慢できなかった」
申し訳なさそうに謝罪する。
その表情から、からかっているんじゃないということが伝わってきた。
「嫌、だったか?」
不安げに揺れる瞳で私を見る。
ズルい。
ずっと好きだった課長とのキス、嫌な訳がない。
私は首を振り嫌じゃないことを伝えると、片倉課長は安堵したように息を吐く。
「あの、ホントに私のことを?」
恐る恐る聞けば、極上の微笑みでふわりと抱きしめられた。
「好きだよ」



