「片倉課長はチョコが苦手なんじゃ」
やっとのことで絞り出した言葉にかぶせるように片倉課長が言い放つ。
「俺は苦手だとは一言も言ってない。あまり得意ではないと言ったんだ」
いや、それを苦手と言うと思うんですけど。
「でも……。あの、つかぬことをお聞きしますが、そのチョコはどうするんですか?」
「は?食べるに決まってるだろ。俺のために蓮見が用意してくれたんだから」
困惑しながらも恐る恐る聞けば、そんな答えが返ってきた。
そして、続けざまに言われた言葉に思考回路が停止した。
「好きな人からもらえるものはなんだって嬉しい」
今、片倉課長はなんて言った?
好きな人ってなに?
脳内処理が追い付かない。
いや、期待してはいけない。
きっと言葉のあやだと思うので深い意味はないんだろうけど、そんなことを言われたら勘違いしてしまう。
深呼吸して気持ちを落ち着かせた。
「それはよかったです。では」
淡々と言ってお辞儀をすると、改めてその場から立ち去ろうとした。
「ちょっと待て」
再び、片倉課長に引きとめられた。
「それはよかったってなに?そうやって俺の言葉をサラリと受け流されると傷付くんだけど。なぁ、蓮見はどうして俺にチョコを用意してくれたんだ?」
「それは、その……」
片倉課長の追及に視線が泳ぐ。



