謝罪して顔をあげると思ったより近い距離に片倉課長の顔があり、バチッと目が合った。
「あっ」
お互いに短い言葉を発し動きを止めた。
ちょうど片倉課長は私のパソコン画面を覗き込もうとしてたらしい。
胸が高鳴りつつも目の前の課長の顔に釘付けになっていた。
距離にしたら十五センチぐらいだろうか、下手したら息がかかるぐらいだ。
絡み合ったままの視線に、このあとどうしようか考える。
私から逸らすのも失礼かと思いそのままにしていると、先に目を逸らしたのは片倉課長の方だった。
「すまない……」
体勢を元に戻し前髪を掻きあげて距離を取る。
それと同時に私はふぅーと気づかれないよう小さく息を吐いた。
なんか息苦しいなと思っていたら、私は無意識に息を止めていたみたいだ。
危うく窒息するところだったので片倉課長が視線を外してくれてよかった。
「いえ……」
頭を左右に振り、パソコン画面に視線を向ける。
「出来たらまた教えてくれ」
課長は何事もなかったかのように自分の席に戻っていった。
その後ろ姿を見てため息をついていたら、ヒールの音が聞こえた。
「あ、片倉くん。よかった、まだ残ってると思ってたわ」
営業部のフロアに華やかなオーラをまとった訪問者がやってきた。



