紳士な課長、愛をささやく


「そろそろ同期会しようと思うんだけど、今週の金曜はどう?」

豚カツ定食を綺麗に食べた大和がスマホを取り出し、カレンダーアプリを開く。

「今週の金曜は予定アリ」

「マジで?」

「うん。バレンタインデーだから彼氏とデート」

「あっ、そうか!てか、バレンタインじゃなくてもかなっぺはしょっちゅうデートしてるだろ。一人だけリア充とかズルいだろ。俺にもチョコくれよな~」

大和が文句を言うと、香苗はムッとした表情になり舌打ちする。

「ズルいとか意味分かんない。悔しかったら大和も早くリア充になれば?総務のなにちゃんか忘れたけど狙ってるんでしょ」

「バカ!デカイ声出すなよ」

周りをキョロキョロ見回す。
いやいや、大和の声の方が大きいでしょ。
そろそろ自覚した方がいいと思う。

大和たちがギャーギャー騒いでいる間、原田くんは我関せずの姿勢で黙々とご飯を食べていた。
相変わらずのスルースキルで見習いたいぐらいだ。

「あっ、昼も終わるからそろそろ戻ろう」

香苗に言われ食堂の時計を見たらあと十分で昼休みが終わる。
ヤバイ、歯磨きもしなきゃいけないし時間がない!
私も慌てて立ち上がった。

「じゃ、大和に原田くんお先に」

香苗がトレイを持ち返却コーナーへと足を向ける。
私も二人に「お先に」と言ってあとを追った。