「陽菜っちは食いしん坊だな。仕方ない、俺の豚カツもやるよ」
ソースのたっぷりついた豚カツを私の月見うどんの中に躊躇なく入れた。
そのお陰で月見うどんの卵がつぶれて黄身がドロリと出てきた。
なにやってくれてんのよー!
右隣に座っている大和を睨み付ける。
「別にいらないし、食いしん坊でもないから。てか、黄身が出てきたじゃん」
「いいだろ、どうせ食べるときはつぶれるんだから。豚カツ美味いぞ」
「そうだけど、人にやられたら腹立つんだけど!それに豚カツが美味しいのは知ってるし」
「そんなに怒るなよ。俺だって陽菜っちにあげたかったんだよ」
そう言ってシュンと肩を落とす。
デカイ図体しているくせに、そんなことで落ち込まないでよ。
ホント、めんどくさい男だなぁ。
「陽菜子、食べてやりなよ。バカ大和のことだから食べるまで粘るわよ」
食べるまでって……、確かに大和ならやりそうだ。
仕方なく豚カツを食べると、大和は満足そうに笑っていた。
「仲がいいんだな」
左隣からボソリと呟く声が聞こえた。
えっ、今のって片倉課長?
チラリと視線を向けると、黙々と箸を進めている。
あれ?もしかして聞き間違いだったのかな。
気になったけど、それを問いただすことは出来ず。
片倉課長は食べ終わると席を立ち、早々と食堂をあとにした。



