太郎は、旅人の隣に腰を下ろし、足をさすりながら、隣の旅人をちらりと見ました。

自分と同じくらいの年頃ですが、ずいぶんやせていて身軽そうでした。

旅人は視線を感じたのか、太郎の方を向いて言いました。

「わたしはキジって名だ。旅をしながら暮らしている。おまえはどこへいくんじゃ」

太郎は答えました。

「おれは、太郎。この川上にある鬼の村へ行くところだ。」