「おまえ、おっかあが生きていると思っているのか。

もうそんな前のこと。

とっくに死んでおるかもしれんじゃろうが」

サルは、指で鬼の角をまね、おどけて言いました。

「鬼はでかいぞ。鬼はこわいぞ。

人間を頭からバリバリと食らうらしいそ。

おっかあがおらねば一巻の終わり。

たとえおってもそうやすやすと逃げ帰えられるとは思えぬ。

あきらめて、もといた村にもどるのがかしこいぞ」