サルは心底驚いたように目を丸くしていいました。

「鬼退治か?これまた、命知らずじゃな。よほど金になるんじゃろうな」

太郎は憮然としていいました。

「金にはならん。さらわれたかあさんを助けにいくだけじゃ」

ほぅ、とサルは声をあげ、続けていいました。

「おっかあがさらわれたのはいつじゃ、昨日か、その前か」

太郎は下を向き小さな声で言いました。

「おれが生まれてすぐじゃ」

サルは、太郎が言い終わらないうちに、大声で笑いました。