そういわれながら、頭をはたかれるのを、じっと見ていました。

太郎は働くのが好きでした。

だから、手伝いはつらくありませんでした。

そしておじいさんやおばあさんが喜ぶ姿を見るのも好きでした。

だからたくさん働きました。

でも、本当は、しかられたくなかったのかもしれません。

「親のない子は」といわれるのがこわかったのかもしれません。

そう言われるたびに、

どんどん自分がうすっぺらになって、

飛ばされてしまいそうでした。