桃から生まれなかった桃太郎

ある日、太郎は眠れない夜をもてあまし、外に出ました。

細長い月が空にはりついていて、

まるで闇が破れた裂け目から、

光が薄く漏れているようでした。

空の裂け目から光がこぼれて、

太郎の体に積もっては落ち、積もっては落ちていくようでした。