「じゃあ、本当のかあさんはどこにいる?」

おばあさんは太郎の手をぎゅっと握って言いました。



「太郎や、お前の本当のかあさんは、

お前を産んですぐ、鬼にさらわれたのです。

おそろしい鬼が、泣き叫ぶ娘を小脇に抱え、

連れて行ってしまった。」

おばあさんの目に涙があふれてきました。

まるで昨日のことのように、

娘がさらわれたあの日を思い出したのでした。