太郎の体は震えていました。

母は小さな体で太郎を懸命に抱きしめていました。

そして、父は二人のやりとりを静かに見守っていましたが、

やがてゆっくりと両腕をひろげて、二人を包み込みました。

父と母の体温が、太郎の冷えた体に注ぎ込まれました。

体の震えは父や母の体に吸い込まれて、少しずつ消えていきました。