その言葉は、

暗い混乱の渦巻きにのみこまれていた太郎を、

一瞬のうちに、白い光の中に引きずり出しました。


この鬼が、自分の父…。

太郎は鬼の腕を振りほどき、鬼を見ました。

大きいからだ、浅黒い肌、縮れた毛。

しかし頭には角はなく、牙もありませんでした。