たえは迷いました。

もうあの桃の木の下には、行かないほうがよいのではないかと思いました。

会ってしまえば、話しかけたくなるでしょう。

父や母の様子を知りたくなるでしょう。



いいえ、それよりも怖かったのは、

私はおまえの母だと、あの子に抱きつき、

許しを請うてしまうかもしれないことでした。