桃から生まれなかった桃太郎

たえは、初めてモリトを恨みました。

幸せだった父や母との生活とひきかえに、愛してしまった男。

ここで暮らす決意をして、この地のならいに従ったが、自分はいつまでもよそ者だった。

そうして子を授かり、母になる喜びと、やっとよそ者ではなくなる安堵もつかのま、またこの子も奪われる。