次の日も、また次の日も、太郎は同じところで母を待ちました。

しかし、女は姿を現しませんでした。

そして、三日目の朝、また霧が出て、まぶしい朝がやってきました。

太郎は今日も川へ来て、母を待っていました。

やがて、大きな獣の皮を抱えた女が、川上から現れるのが見えました。

太郎の心臓はドクドクと高鳴り、身体中に血が駆け巡るのですが、手足は凍りついたように動きません。

太郎は桃の木の陰に隠れようとしましたが、足がもつれ、思うように動けませんでした。

太郎の右足は石をけり、左足は砂をすくい、じゃりりという大きな音をたてました。



女は、洗濯の手を止め振り返りました。