次の日の朝、太郎はまた桃の木のそばに行きました。

昨日の女はいませんでした。

日が高く昇り、太郎を照りつけました。

日が傾き、陰が長くなって、やがて薄暗くなりました。

ずっと同じところで、太郎は母を待っていました。

心の中で何度も「かあさん」と叫びました。

女はその日、ついに姿を現しませんでした。