「桃の花だ」

太郎は大声で叫びました。桃色の塊にみえていたものは、咲き競う桃の木の大群でした。

ここは鬼の住処の入り口にちがいないと太郎は思いました。

恐ろしい鬼の住処には到底似合わない、美しい景色でした。



桃の木のたもとで、人影がゆれました。