「……彼方くん、びっくりさせちゃってごめんね」
しばらく歩いていると、彼女の声が聞こえた。
彼女はやっぱり、俺の少し後ろを歩いていて。
いつもより、声がか弱く聞こえた。
それは雨のせいなのかもしれないし、
もしかしたら、俺の気のせいかもしれない。
地面に打ち付ける雨粒が、
なぜか俺には、誰かの涙のように見えていた。
「……バスケ」
「えっ…?」
「バスケ、何であんなに楽しそうだったの?」
俯いている彼女に戸惑って、
どうしても話題を変えたくなった。
1番楽しそうに、バスケをしていた彼女。
その理由が、なんとなく気になっただけ。

