「…ケホっ」


「なに、風邪引いたの?」


「ケホっ…大丈夫、大したことないから」




ここ数日、天気が悪くなりだした頃から。


彼女はよく咳をしていた。


航平もマユも、気にしてないみたいだけど…




「ありがとね、彼方くん」


「…ん」




隣の席だと、どうしても気になってしまう。


それは彼女だからなのかもしれないし、


俺の気まぐれなのかもしれない。




いつも通り、マユと笑い合っていたし。


俺の思い過ごしなら、それでいい。