……いや、気のせいだよな?
自転車を止めて、恐る恐る近づく。
見間違えるはずない。
座っているのは、まぎれもなく…
「……あれ……彼方、くん…?」
驚いた顔で俺を見上げるのは、
制服を着た、隣の席の彼女だった。
「びっ…くりしたぁ…追試は?どうだった?」
「……まぁ…おかげさまで何とか…」
「ふふっ…おつかれさま」
彼女の声が、いつもより弱々しく聞こえる。
少し顔色が悪く見えるのは気のせいだろうか。
「何してんの、こんなところで」
「んー…ちょっと休憩?」
「……もう暗くなるから、早く帰ったほうがいい…と、思います…」
「えっ…なんで敬語なのっ」
彼女の笑っている姿がいつも通りで、
俺は心のどこかで安心していた。

