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「……航平の鬼」
「鬼で結構。さ、続きやるぞ」
航平の、地獄の勉強会が始まった。
普段勉強なんてしない俺が、
何時間も続けて机に向かえるわけがない。
しかも、ほとんど休憩なしだ。
「ま、自業自得だけど」
「ん?なんか言った?」
「いや、こっちの話」
こんなに真面目に勉強するのも、
地獄の勉強会をするのも、高校受験以来だ。
「あー…なんかこれやった気がする」
「だろ?お前はやればできんだから、頑張れ」
「へーい」
すっかり俺の扱いに慣れている航平。
やっぱり、持つべきものは優等生の友達だ。
しばらくノートにペンを走らせていると、
廊下からはドタドタと騒がしい足音がして。