俺は、小さな紙飛行機をゆっくり広げてみた。


そこには大きな文字で『き』と綴られていた。



「......き?」



なんだこれ…俺には全く分からない。


どこかの子どもが書いたのか?




潮風が吹いて、俺は海を眺めた。


この海を眺めていると、いつも悲しくなる。


俺の心に空いた穴は、もう修正不可能らしい。




いつの間にか握りしめていた紙に気づき、


俺はまた、海に向かって飛ばした。