ドア越しに「彼方」とじいちゃんの声がして。


返事をするのも面倒で、俺は寝たふりをした。




「彼方の自転車、直しといたからな」




返事をしなかったのに、じいちゃんは


それだけ伝えて行ってしまった。




寝てたらどーすんだよ…と思いつつも、


部屋に入ってこなかったことにほっとした。




ドア越しだったけど、じいちゃんには


起きていることがバレていたかもしれない。




ホント、俺ってどうしようもねーよな。


全てに嫌気がさして、俺は再び瞼を閉じた。