ーーー
「……だっる…」
7月、本格的な夏が始まる直前。
本来なら学校にいるはず時間に、
俺は田舎道を歩いていた。
容赦なく照りつける太陽に、ため息が出る。
「あれ、学校は終わったんかい?」
「……んー、まぁ」
「あんまりサボるんじゃないよ」
「へーい。三浦のばあちゃんも、暑いんだから気をつけろよー」
この小さな田舎に住んでいるのは、
じいちゃんとばあちゃんばかり。
見渡す限り、山と田んぼと老人。
そんな田舎の人口は、かなり少ないだろう。
「……早くチャリ、直んねーかなぁ」
昨日、自転車が壊れたせいで今日は徒歩。
学校を出て数十分が経っているはずなのに、
景色は田んぼから一向に変わらない。