引っ越してきた人が えらいべっぴんさんだったとか… 娘が俺と同じ高校に通うとか… たぶん、そんな話をしていたんだと思う。 興味がないから、適当に相槌をしてたけど。 「ほれ、彼方。とうもろこし取りに来な」 ばあちゃんに呼ばれて立った瞬間、 ポケットから紙が落ちたのが分かった。 俺はごみ箱に捨てようと思ったけど、止めた。 「捨てらんねーじゃん、これ」 せっかく誰かが俺のために書いてくれたのに、 捨てるのはさすがに気が引ける。