だんだんと近づいてくる何かは、


どうやら紙飛行機のようで。




それを掴んだ瞬間、俺の耳には


バシャンっ…という音が届いた。




「やっべ…」




紙飛行機に夢中になっていたせいで、


ここが海だということを忘れていた。


すっかり濡れた足元に、波が打ち寄せている。




「夏だし、乾くよな?」




……航平とマユがいたら、


本気でバカにされるところだった。


誰も見ていないことが不幸中の幸い。