「彼方さ、留年してもいいの?」
「……ま、その時はその時っ」
マユの心配も、笑って誤魔化す。
何か言いたそうな航平だったけど、
特に何も言わず俺を見ていた。
……ほんと、俺どーすんだろ?
「なぁなぁ~、航平たち知ってっか?……実は来週、このクラスに転校生が来るって噂なんだけど~っ」
クラスのお調子者、吉田 祐介〈 ヨシダユウスケ 〉と
市川 和成〈 イチカワ カズナリ 〉たちが
話題を変えてくれたおかげで、
俺が言葉を続ける必要がなくなった。
「お前らの情報当てになんねーからな」
「いやいや、航平。今回はマジだから…なぁ、カズっ」

