―はぁーもう11月かぁ
最近、寒いなぁ…
かじかんだ手を擦りながら、歩いていると
「乃愛、さみぃな!カイロいるか?」
優くんが話しかけてきた。
「優くん、ありがとう。」
お礼を言って、カイロを取ろうとしたら
「だーめ!!呼び捨てしなきゃ渡さない。」
カイロを自分のポケットに戻した。
―えぇ~~~!?
あ、呼び捨てしろって言われてたんだった
でっでも
恥ずかしいな…
「ん~。わかった、ゆ、ゆっ優…」
―ちょー恥ずかしいよぉ
恥ずかしくなって、早く歩いた。
「おいっ!!ちょっ待てよ。カイロやるよ。」
「ふん!もういらないし。」
―あ~
私って本当に素直じゃないなぁ…
「やっ、やっぱりカイロちょうだい…」
私は、優のポケットに手を入れてカイロを取った。
「おっおい、あ~!?まぁいいや。乃愛が可愛かったから。」
また、ニヤニヤしながら言う。その顔が可愛くて。
―ったく、優は…
この人には、敵わない
「可愛くないよ…でも、優ありがと…ね。」
ニコッと笑いながら優を見ると、
「たまには、素直になれるじゃん!!」
そう言って私の頭を優しく撫でた。
―ドキッ
なんだろうこの感覚…
こんなの初めて
やっぱり私、優のこと…