ギィイイイ…
俺は、数羊より先に図書室に入った…と思ってたんだけど!!
「早いね、張り切ってる?」
「おわっ!?ビックリしたな!!いたのかよ~!!」
「まあね~。」
フフンと数羊は得意そうに鼻を鳴らした。

「そういえばさ…頼みがあんだけど…。」
「ん?」
ん?って…女子みたいな反応すんなよ…。俺の心臓は、数羊と二人になると固まっちまうのか、苦しく重くなる…。

ってそんなこと言ってる場合じゃない!!
「その…俺の事、下の名前で呼ばないでくれない?」
目を合わせられなくて、横にそらしていた。
「え…僕に呼ばれるの嫌?」
悲しそうな声で、数羊は俺の顔を除き混んだ。
「嫌って事じゃねえよ…。その…俺の名前、しほって言うだろ?女みたいだから…。」

すると…数羊は…俺の手首をつかんだ。
「なに言ってんの?」
「え?」
数羊の声は、怒ってるのか低くなっていた。
「はぁ…、この辞書で、自分の名前に使われている漢字を調べて、読書感想文の紙にまとめてください。」
「は?」
「『は?』じゃなくて…、これが今日の活動です。」

そう言って、数羊は俺の前に紙と辞書を置くと、何も話さなくなってしまった。
というか…話しかけても、シカトを食らってしまった。

…そこまで怒ることかよ…。
俺は仕方なく、辞書で漆歩の漆から調べ始めた。