俺は、午前の授業が嫌だったこともあって、昼から学校にいくことにした。

ガラッ
「あ、ウルフさん。今日、ゆっくりですね!?」
「あぁ…。」
本当なら、今日は休む予定だったけど、部活一日目だしな!!た、楽しみには、してないと思う。

俺は、他のやつらの挨拶をテキトーに済ませて、クラスの前の方…数羊の席の前に誰かの椅子をぶんどって後ろ向きに座った。

数羊は、案の定一人で食べようとしていた。
俺が前に来るとキョトンとした顔で俺の目を見て目を見開いた。
「おはよ、数羊。」
「うん…おはよう…しほ君。」
数羊が俺の名前を呼んだとたんにクラスがざわめいた。

な、何だ?
「もしかして、皆…しほ君の名前知らなかったのかな?」
「は?」
俺が、いつもの調子で返事を返すと…数羊の血の気が引いたくのが分かった。

「あ、ごめん…。悪気があったんじゃなくて…その…。」
やべっ…またうつむいちゃった。

「大丈夫。怒ってねえから。」
「本当?ビックリした~。」
そう言うと、安心したのか柔らかい顔に戻った。

クラスのざわめきに耳を傾けるとと、数羊のいっていた通りの事だったみたいだ。
『しほ!?』『うるふじゃねえのか?』『女みたいな名前だよな!!』
おい、聞こえてんだけど…。

俺が、ざわめきを睨み付けると、真っ青な顔をして…静かになった。
女みたいとか言うなよな…気にしてんだから!!

「しほ君?それ…なに?」
数羊が俺の持っているコンビニの袋を指差した。
「ん…これか?昼。『5秒飯』。」
これだと、なにも考えなくていいから、いつも買うんだよな~。

すると、数羊はツルッとした額に少しにシワを寄せてから、俺に弁当を差し出した。
「?」
「実は…僕、お腹いたくて…よかったら…交換して…やだ?」

そう言うことか…。
「いいけど…。」
「良かった~。」
そう言うと、俺から袋を取って、美味しそうに吸っていた。

俺もありがたく数羊の弁当を頬張った。
バランスのとれていて、色とりどりで味もうまくて、ペロッと完食してしまった。