「よし!!取り合えずこんなもんかな…。」
今日中で分かったことは、メイちゃんは読書部ってのに入ってるってことだ。

俺は早速…メイちゃんより早く図書室に入った。隠れてれば警戒されないでふと顔を見れることをあるかもしれないしな!!

あ、別に楽しみにしてるわけではないけど!!

それから五分位してメイちゃんが入ってきた。
あれ…前髪ピン止めで止めて…る!?

遠目から見ても…カワイイ~!!
…いやいや…至って動物を見る目だけど!!


…………
そういえば、俺、どうやって出よう…。
隠れてみてたことがばれたら…警戒されちまうよな…。

俺が考え込んでいるうちに…下校時間になってしまっていた。

ガチャ
図書室の扉の開く音がした。
「…。」
ギィイイイ…
静かに閉められた。
鍵は掛けられなかったな…。

俺は、隠れていた棚から体を出した。

「…!!」
「…な、何を…してるんですか…。」
メイちゃんは、怒っているのか泣いているのか…肩が細かく震えていた。

「あ、わりっ!!その…読書部って、面白そーだな!!…なんて…。」
俺は何言ってんだか…。変なこと口走っていた。
すると、メイちゃんは顔をあげて俺の目を見た。

「それ…本当ですか?」
「あ、あぁ!!そうそう!!」
メイちゃんの声は心なしか嬉しそうだった。
もうなんでもいいか!と思って、俺は、同意をした。

「…った。」
ん?なんか聞こえたような…。
俺がそっと目をメイちゃんに戻すと…頬を赤らめて目をキラキラさせたメイちゃんがいた。

「やった。嬉しいです!!よ、よろしくね、しほ君!!」
…こいつ、俺の下の名前まで知ってたのか!!
しかも、さっきまで敬語だったのに、急にタメ口で…そんなにへにゃって笑うなんて…。

「カワイイ…。」
「え?」
あ~!俺、何口走っちゃってんだよ!!!!!!
「あ、いやいやいやいや!!何でもねえよ!!よろしくな!!メイちゃん!!」
俺が手を差し出すと…苦笑いになりながら両手で握手をした。

学校から出て、方向が同じだったこともあって、一緒に帰ることにした。
「そういえば、メイちゃんって、本名なのか?」
「え、ううん…本名は、シバカズヒ…草冠の芝に数える数に…羊。」
なるほどな…羊が入ってるからメイちゃんになったのか…。

「あ、なんか…ごめんな!!」
「いえ…なんの本が好きなんですか?」
「ん~。」
ヤバッ…俺、あんまり本読んだことねえ…何て言えないし…。

「あまり読まないんですね?」
…き、気付かれた!!
「…わり…。」
「なーんだ!!だったら、色々なおすすめの本があるんですよ!!!!まずは、辞書で読書感想文を書くことがおすすめですよ!!辞書って勉強でしか触らないって嫌煙されがちなんですが、読んでみると、いろんな言葉を知ることができて、他の本を読むのも楽しくなるんですよ!!あと、」


「ちょっと待った!!ストップ!!」

俺が手を顔の前に出すとやっと止まった。

「お前、めちゃしゃべるんだな!!」
俺は感心して言ったんだけど、数羊は真っ青な顔をしてしまった。
「すみません…本の事になると…つい…。」
そう言って、またうつむいてしまった。
あぁ…せっかく顔見れてたのに…。

辞書の事話すときにやっと顔が見れたんだけど、目が切れ長なのにまつげが長くてぱっちりして見えた。