ザー!!
「チッ、雨かよ…。」
ゴロゴロ…
雷もなってるし…。俺は、雷恐怖症持ちだ…。小学校の時、家の前の木に雷が落ちて、真っ二つになって燃えているを目の当たりにしちまったから…。

あまり雨が強くないうちに…帰るかな。
と思ったんだけど…。

ザー!!!!
「うわ…ひどくなってヤンの。」
俺は、近くのバス停で雨宿りをすることにした…。

あれ…珍しいな。こんなところに人が待ってるなんて…。
あれ、こいつは濡れてないのか…。

「なあ…、お前も降られたの?」
「ええ…。」
こいつは、俺の方を見ることもなく、返事をした…。
なんだよ…せめてこっちを見ることだってできるだろ…。

俺は腹が立って睨み付けた。

こいつ、よく見ると、細いフレームのメガネをかけている。髪はクセっ毛だけど、さらさらしているのか頭を傾けるだけで下に流れていた。

なんだよこいつ…ちょっと、色っぽい…かも?

「僕の顔に何かついてますか?」
「え?」
俺が気づいたときは、こいつの顔が俺を下から覗き込んでいた。

驚いて俺が固まっていると、こいつは俺の手に何かを握らせた。

そっと見ると、傘の持ち手だった。
「僕は、バスなので使ってください…。明日まで止まないみたいですから。」

「あ、ありがと。」
俺は、こいつの傘を使って、帰ることができるようになった。
お礼くらいは言わないとだよな…。

「あ、あのさ!!」
俺は、振り向いてこいつを呼び止めた。
「…はい。」
振り向いた顔は、少し丸くて、切れ長の目だった。

「その、名前聞いてもいいか?」
「…あなたと同じクラスですが、わからないですか。」
マジかよ…。同じクラスなら全員わかるはずなんだけど…。

ブー…キキーッ
「また明日、虹くん。」
「え?俺の名前知って…」
ブシュー…

あ、行っちゃった。