「ふぅ〜」
杏子は、私は大きく息を吐き出し、気合いを入れた。
「遊園地に行った日の帰りに・・・キスされたの・・・」
「えーっ!!キス?!」
「美穂、声が大きい!!」
「だってさ、キスなんて言うから・・・」
幸い中庭には誰もいなかったので、聞かれることはなかった。
「・・・・・・」
「なんでキスされたんよ!」
少し声を潜めて、美穂の事情聴取が再開した。
「それは・・・私が自転車にぶつかりそうになったところを体を張って助けてくれた時に、いきなり・・・」
「キスされたんや!」
―――完璧楽しんでる・・・目が輝いているのが何よりの証拠。
「うん」
「それで、杏子はあんなに怒ってたんやね!それで、眞中くんは謝ろうと雨の中、ずぶ濡れで杏子を追い掛けてきたというわけや!」
「・・・その通り」
美穂の推理が完璧に当たっていることに、驚きを通り越して、感心してしまった。
「なるほど。それで、告白とかされたん?」
―――なんで、そこまでわかるかな?超能力者?もしくは見ていた?
美穂の推理の鋭さに頭が下がる思いの杏子は、再び話そうとした。
「そう・・・」
「なんて言われたん?」
―――えっ?なんて言われたんやろう・・・。
『好きでもない女と相合い傘できるかよ』
健一の言葉を思い出した瞬間、杏子の顔が真っ赤になった。もちろんそれを美穂は見逃すわけがなかった。
「あんた、何思い出して真っ赤になってんの!」
「なってないって・・・」
―――やばい・・・。顔が熱い。
真っ赤になった顔が美穂に突っ込まれることでさらに赤くなり、さらに熱くなっていった。
「なんて告白されたんかな?」
―――悪魔! まだ聞くか?
「別に、普通やって・・・『お前のことが好きや。』って」
「ふぅん。じゃあ、付き合ってるん?」
もっと目を輝かして聞いてくると思ったので、杏子は拍子抜けした。
「付き合ってないよ・・・」
俯きながら事実を話した。
「えっ?なんで?告白されて嬉しかったんじゃないん?」
これまで的確に答えを導き出していた美穂の推理が外れた。
「違う、違う」
美穂が驚くくらい激しく首を振った。
「じゃあ、断ったんや?」
「あれは・・・断ったことになるんかな?」
「はぁ?意味わからんし!」
美穂はじれったいといった感じで、杏子が話すのを促した。
その時、タイムオーバーとばかりに昼休みが終わるチャイムが鳴った。
「杏子、続きは放課後に聞かせてもらうね!」
「・・・・・・」
―――まだ続くんかぁ。
杏子は、足取り重く教室に向かった。

