「なぁ、健一、ゴールデンウィークに何か予定ある?」 

 
朝から佳祐に話し掛けられている健一の頭の中は混乱していた。


―――昨日あんなことがあったのに、よく普通に話し掛けれるな。

どんな神経してるんや・・・。

しかもなんかやけに機嫌いいし。



「別に予定ないけど・・・」


意味不明な佳祐の言動に不信感を抱きながらも、健一は正直に答えていた。


「よかった〜。じゃあ、一緒に遊園地行かへん?」


―――はぁ?なんで男二人で遊園地行かなあかんねん。


不信感たっぷりの顔で見ていたので、佳祐は先を続けた。



「俺さ、岡崎ちゃんを誘おうと思ってるんやけど、二人だけやったら来てくれへんような気がするから・・・」



―――こいつ、本気なんか?


「はぁ?3人で行くんつもりか?」


「い、いや・・・美穂も誘おうと思ってる」


「ふぅん」


―――美穂って・・・江坂さんのことやんな・・・あの子、昨日あんなこと言ってたのに大丈夫なんか?



健一の頭の中は、昨日美穂に言われた


『杏子のこと、本気じゃないなら弄ぶのはやめて』


という言葉がぐるぐると回っていた。


「美穂は大丈夫やで」


「えっ?」


―――こいつ、俺の頭の中が見えてるんか?


「美穂には彼氏がいるから、健一には言い寄って来ないやろうから」


「・・・・・・」


―――見えてなかったんか。

それより、その彼氏と4人で行けよ。

俺は・・・佳祐とあいつがくっついてるのなんて見たくないし・・・。



「じゃ、時間とかはまた連絡するから!」


佳祐は健一の返事も聞かずに、立ち上がり、教室から出て行った。


―――なんやねん、あいつ!勝手に決めるなや!


健一は、佳祐を呼び止めることもできず、溜息をついていた。



―――なんで俺が、佳祐とあいつの間を取り持たなあかんねん。


「眞中くん、おはよ~」


佳祐が去ると、どこからともなく現れた女子に、健一のイライラは増すばかりだった。