最後に会ったのは、僕が東京へ行く日だったから4ヶ月前くらいかな?

それからでも君は、さらに魅力的になったね・・・。

でもそのかわいらしい笑顔は昔のままで・・・僕は嬉しかったよ。

どんな子と付き合っても、求めるのは『杏子』。

どんな子も君を忘れさせてくれなかったよ。

目の前の恋人が、君だったらどんなにいいか、抱いているのが君だったらどんなに幸せなんだろうって・・・いつも思ってた。

僕にとって、君が初恋の相手で、忘れることなんて到底できない相手なんやから。

でもね、僕がたった一人だけ負けを認めている男がいる。

杏子を守ってくれた男。

小学生の時にいじめられていた杏子を体を張って守ってくれた男。


『こーんなに背中が大きくてね、杏子の前に立ったら向こうが全然見えへんようになるんやで』


その男のことを小さな体で腕をいっぱいに伸ばして説明してくれる君の顔は、いつも満面の笑顔だったけど・・・僕はその笑顔だけは見たくなかった。


僕以外の男の話を嬉しそうにする君の顔は見たくなかった。


でも、失われていた君の笑顔は、みるみるうちに元に戻っていった。


僕だって、同じ小学校だったら、守れてあげられたんやで?


笑顔にすることくらいできたんやで?


そんなことさえ考えたが、やっぱり現実には君の笑顔を元に戻したのは、僕ではなく・・・『ガッくん』という男あった。


だから、僕は『ガッくん』にだけは、唯一負けてもいいと思っていた。


でも、彼は小学校を卒業してすぐに引っ越したらしい。


その頃の杏子は、笑顔が失われていて・・・見てられなかった。


僕は・・・彼みたいに守ってあげれなかった。


それなのにまだ諦めれないでいる・・・『ガッくん』がいないなら・・・僕がという気持ちがあって・・・。


だから、あの『眞中』という男には負けるわけにはいかないんだ・・・。


卑怯だと言われようとも・・・俺は諦めることなんてできないんや・・・。