健一と佳祐が並んで歩く後ろから、大股で近付く黒谷は二人との距離を縮めると、声は張らずに不気味に声を掛けた。
「この前はドローやったよな?じゃあ、俺は諦めんでいいんやな?」
「何が言いたいんや!」
佳祐が珍しく声を荒立てて黒谷に突っ掛かった。
「お前の噂を聞いた彼女はどう思うかな?「『女にモテたくて、整形した男』なんて幻滅じゃね?」
黒谷はニヤリと口角を上げると、健一に向かって言った。
「・・・・・・」
「そんなんただの噂やろ!」
佳祐の怒りはおさまらないといった様子で、攻め続けるが健一は二人の様子を冷ややかに見ているだけで、何も言うことはしなかった。
「そっかぁ?みんなただの噂とは思ってないみたいやけどな」
佳祐は、黒谷に殴りかかろうとしたが、健一が無言で佳祐の腕を掴んだ。
「やめとけ。こんな男、殴る価値もない」
健一の冷静に言い放つ言葉に黒谷も苛立ちが増した。
「なにを〜?!絶対に手に入れてやるからな!」
黒谷は健一の顔を睨み付けると、すぐに視線を外し、グランドへと走って行った。

